SKE48松村香織卒業コンサートでSKE48が披露した欅坂46の『不協和音』が話題になっています。「素晴らしい」という声もあれば否定的な意見もあります。
松村香織自身もなぜ『不協和音』をやったのかについてTwitter上で言及しているのでまとめていいます。
SKE48松村香織が欅坂46『不協和音』をやりたかった理由
#かおたんリクアワ という私の好きな曲やるコンサートにて欅坂46さんの不協和音をやらせて頂きました。本当にこの曲が大好きで卒業する前にどうしてもやりたくて??わざわざTAKAHIROさんチームに名古屋で振り入れもして頂きリハーサルVを観てアドバイスも頂きました。SKE48として本気で取り組みました?? pic.twitter.com/NU2VOkKLFG
— 松村香織【SKE48】 (@kaotan_0117) 2019年2月7日
SKE48に所属する松村香織がそもそもなぜ欅坂46の『不協和音』を自身の卒業コンサートでやりたいと思ったのでしょうか? その理由を松村香織のTwitterに投稿しています。
不協和音というこの楽曲へのハードルが高いのも、欅坂のメンバーもファンのみなさんもとても大切な曲であることは重々承知の上で、セットリストに入れさせて頂きました。不協和音というこの楽曲のパワーをお借りして今のSKEの現状を打破してほしいというか、ひとりひとりが限界を越えてほしい、今までのパフォーマンスのやり方ではない切り口でなにか強い想いを表現して伝えてほしい、もう卒業する私のこのような考えもあって選曲しました。私達メンバーは不協和音をやるにあたり歌詞の意味を考えてオリジナルの世界観を壊さないようにイメージして先生に1つ1つの振り付けの意味を教えて頂きリハーサルはもちろんステージで実際にやってみて、改めてパフォーマンスをしている欅坂46さんのことを本当に凄いと感じました。尊敬しています。尊敬しているからこそ中途半端なものをみせられないのでSKE48として本気で全力でパフォーマンスさせて頂きました。賛否両論あると思いますが、この想いがどうかみなさんへ伝わりますように。
SKE48松村香織Twitterより引用
丁寧な説明だったと思います。自分たちの熱い想いを伝えつつも欅坂46メンバーやファンに対しても最大限の敬意が感じられます。
松村香織は『不協和音』という楽曲を通じて今のSKE48の限界突破を願ったのです。
これは言い方を換えれば、そうでもしなければSKE48の現状を打破できないと感じたとことになります。
アイドル界ではSKE48は結成から10年が経過し11年目に突入するグループ、かたや欅坂46はまだ結成3年目のグループです。48グループを中心にアイドル界が回っていた時代があったことも事実ですし、SKE48はナゴヤドームコンサートを成功させていることを考えれば実績的にもSKE48のほうが上です。しかし、今の時代の流れは乃木坂46が2年連続でレコード大賞を受賞したように坂道グループに時代は流れています。それに伴いSKE48のCD売上枚数の減少など勢いでは坂道グループに見劣りするのは否定できません。
後輩の楽曲の力を借りてでも松村香織が伝えたかったこと。それはSKE48が抱えている問題が根底にあります。
SKE48が抱える問題点
SKE48はAKB48の次に結成されたAKB48の姉妹グループです。愛知県名古屋市栄を中心に活動することから「SAKAE」のSKEを取ってSKE48と名付けられました。
AKB48の後発のアイドルで、しかも地方を拠点に活動することを考えれば人気面ではAKB48には敵わない。だったら全力で踊る必死さを届けるしかない。
人気もスキルも先輩には敵わなくても見せられるものはある。振付師の牧野アンナの超スパルタ指導の基、SKE48は「ダンスのSKE」と言われるほどダンスに特化したグループに成長し、体育会系の厳しい上下関係の中でSKEイズムともいわれるパフォーマンスへの異常なまでのこだわりを見せていました。
しかし、パワハラ問題が連日ニュース番組を賑わせる昨今、10年前のやり方を今のSKE48に持ち込むのは時代にそぐわなくなってきました。ちょっと厳しくいえばモラルを問われ、新人メンバーはSHOWROOM配信というツールを持つことで、すぐに怒られたことを公開してしまい注意をした先輩は悪者扱いされてしまいます。
SKE48のドキュメンタリー映画『アイドル』でも1~6期までと7期以降での意識の違いが出てしまい、コンサートのクオリティを保てないことへの危機感が映し出されていました。これはSKE48の伝統をうまく継承することができなかった先輩メンバーの責任でもあるのですが、かつてのスパルタ指導に戻すわけにもいかない。でも現行のやり方では頭打ちになっている。というメンバーも運営もどうしたらいいのか分からない苦悩が見えました。
具体的に何が悪いというわけじゃない。みんながんばっている。でもかつてのSKE48を知る者からすると何かが物足りない。
そんなSKE48が現状を打破するために松村香織が最後に残したメッセージがこの『不協和音』だったのです。
そして松村香織が賭けた『不協和音』披露は正解だった気がするのです。Twitter上でのわずかな時間の映像でも伝わってくる熱気と迫力。
そうそう、SKE48の魅力ってこうなんだよ! と思わせてくれる熱いパフォーマンスがそこにはありました。人気もダンスも敵わない。だから私たちは必死になって踊るんだという初期の頃に見せていた熱いものから徐々に経験値も上がり人気グループになるにつれて、うまく見せる方向に意識が向かっていたのかもしれない。
『不協和音』という楽曲は、同調しない者を裏切り者扱いし、仲間でさえも信用できなくなった僕の魂の叫びです。
「僕は嫌だ」と平手のモノマネをするだけなら誰でもできますが、歌詞の意味を理解して世界観を表現するのは、あまりにも重い世界でアイドルが歌うには酷な曲です。
でも松村香織は、そんな曲だからこそ今のSKE48に伝えたいものがあった。みんなバラバラでもいい。それでも前に進むんだという覚悟を感じてほしかったのだと思います。
欅坂46平手友梨奈とSKE48小畑優奈の「僕は嫌だ」
#松村香織卒業コンサート 終わりました!
セットリストがとっても新鮮で
新しいことにもたくさんチャレンジできてたのしかったです!
香織さんかっこよかったなぁ。???? pic.twitter.com/4PNraVCCHR— 小畑優奈 (@yuna_obata48) 2019年2月5日
SKE48が披露した『不協和音』のセンターを務めたのは小畑優奈です。最近は松井珠理奈固定ではなく小畑優奈が務める曲もあります。高いアイドル性を持ちながら弱みを見せない強さを兼ね備えたセンターです。
『不協和音』はその残酷な世界観も去ることながらやはり最大の見せ場はセンターの「僕は嫌だ」でしょう。そこまでにどれだけ周りがお膳立てしてもセンターが表現する「僕は嫌だ」が決まらないとこの曲は締まらない。
さて小畑優奈はどんな「僕は嫌だ」を見せてくれるのか注目していると平手とは違い、かなりキーが高い「僕は嫌だ」でした。
この表現から感じたのは「発狂」です。
あまりのストレスに耐えかねた主人公が狂ったように「僕は嫌だ」と感情を爆発させている印象です。表現方法としては女性的な表現方法ともいえます。
対する平手はもっと低くて重厚なイメージです。そして強い。
プライドさえも捨て、反論することを恐れ、見て見ぬ振りをしなきゃ仲間外れか。いや、そんなの違うだろ。ここで主張を曲げたら生きてる価値なんてない。欺きたいなら僕を抹殺してから行け。
ここまでの強い意思を持って自分を曲げることなど絶対に嫌だと主張する。そんな平手の「僕は嫌だ」は感情の爆発や憑依したような表現だけでなく強さを感じるんです。
一般的に平手は精神的に弱いと見ている人が多いでしょう。実際に繊細な子であることは確かなので否定はしませんが、彼女の表現には普段の平手とは全く違う強さもあるのだということはお分かりいただきたいのです。
センターそれぞれの表現があっていいと多様性を受け入れることこそが良識ある考え方なのかもしれませんが『不協和音』の「僕は嫌だ」の表現においては、あまりキーが高すぎるのは違うのではないかと思っています。
まとめ
SKE48も欅坂46も好きな自分としてはSKE48が不協和音を見せてくれるのはこれほど嬉しいことはありません。
松村香織からのメッセージをどう受け取って不協和音を表現したのか、その答えは今後のSKE48を見ていく中で見えてくることでしょう。わずか1分に満たない映像を見ただけでもSKE48の凄さと課題が見えたパフォーマンスでした。ぜひフルサイズで見てみたい。これは円盤化したら購入しなきゃダメですね。
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