欅坂46の8枚目シングル『黒い羊』が2月27日にリリースされました。音源やMVが解禁されてから各メンバーが楽曲について語る中でセンターの平手友梨奈が『黒い羊』について語ったのは発売日に配信されたSHOWROOM配信ぐらいなもので詳細については明かしてきませんでした。
そんな平手友梨奈が2時間を超えるロングインタビューに挑んだのが『ROCKIN'ON JAPAN (ロッキング・オン・ジャパン) 2019年 04月号』に掲載されています。
今の彼女の本音が語られているいいインタビュー記事でした。
年末は怪我で出られなくて辛かった
#21枚のカウントダウン、17日目は #平手友梨奈 さん× #神藤剛 さんの『共振』。幾度と撮影を行なってきたこの組み合わせ…必見です!#欅坂46 ファースト写真集『#21人の未完成』発売まで…残り4日! pic.twitter.com/f5A0pVBfpr
— 欅坂46 ファースト写真集『21人の未完成』公式 (@keyaki_first) 2018年11月17日
記事の冒頭部分ではまず年末に怪我をして歌番組に出演できなかったときの心境を語ってくれました。
年末が、怪我で出れなくて、みたいな感じだったので。やっぱり辛かったから。
『ROCKIN'ON JAPAN2019年 04月号』より引用
2018年12月といえば年末の歌番組の特番が続きます。そこで披露した『アンビバレント』のダンスのキレが悪いとしてネットは炎上。見ていても動きを加減しながら踊っているような感じで全力なダンスを見せてくれる平手の動きとは明らかに違いました。
12月中旬になると怪我をしていることが発表され一部活動を休止することも発表されました。レコード大賞、紅白歌合戦といった大一番を控えて欅坂46は絶対的センターを欠くという緊急事態に陥ります。しかし、ピンチをチャンスに変える自力を見せてくれたのもこのときで、歌番組ごとにセンターとフォーメーションを変えて平手不在の穴を感じさせない年末を過ごすことができました。
そんな状況の中で怪我でお休みをしてしまった平手友梨奈はいったいどんな心境だったのだろうと気になっていました。
そのときの精神状態がパフォーマンスに出てしまうタイプなので、やる気がないように見られることが多いのですが、欅坂46が大事なときに離脱してしまうことへの辛さというのを抱えていたんですね。
当然と言えば当然なのですが、何かその言葉を聞いてホッとしたというか安心した部分も感じました。
あの期間がなかったら私はアンビバレントにいない
2018年は怪我から始まり、映画『響』の撮影もあり欅坂46としてのアイドル活動は長期休養。夏の『アンビバレント』から復帰したものの不安定な状態は相変わらずで年末も怪我で休養。映画でアカデミー賞新人俳優賞を受賞するなど役者としての才能を発揮する一方、アイドル平手友梨奈としてはなかなか思うようにいかないもどかしい時間が続きました。
2017年の年末から歌番組中も心ここにあらずというか、どうも集中力に欠けるように見えていたし紅白では倒れてしまうなど心身共に限界が来ていたのでしょう。表現者平手友梨奈としてはFNS歌謡祭で平井堅とコラボしたときの圧倒的な存在感を示しましたが、アイドルとして活動するのはどこか無理をしているんじゃないか。辛くなってきているんじゃないか。そんな想いを感じていました。
自分が『響』をやれたこと、映画っていう世界に一歩踏み出せたきっかけを考えると、欅坂がなかったら自分はいなかったと思う。私は欅坂であるから意味があるんだろうなと思ったから。だから私はもう一回欅坂に戻りました。
『ROCKIN'ON JAPAN2019年 04月号』より引用
インタビューの後半で自分自身の課題として「考えすぎてしまうこと」を挙げています。映画の撮影もMV撮影も始まってしまえば楽なのに打ち合わせの段階で考えすぎてしまう。
もともと繊細な子なので傷つくことに対する恐怖心があるんだと思います。だから、挑戦して傷つくリスクは冒したくないというのが根底にはある。それが撮影すると決まって撮影が実際に始まってしまうと引くに引けない状況に追い込まれることで覚悟が決まる。いざ、やってみればすんなりいくケースのほうが多いというのだから本当に考えすぎなんです。でもそれができないところがまた平手友梨奈らしくもあります。
平手は一度欅坂46の活動を休止した段階では卒業も十分視野に入っていたと思います。むしろ、割合でいったら卒業のほうが大きかったかもしれない。
それでも再び欅坂46に戻ってきた理由を「欅坂がなかったら自分はいなかった」と語っています。
これはいろんな意味で解釈が可能です。
・欅坂46としての活動がなければ映画出演をオファーされることはなかった
・映画で失敗しても欅坂46という戻る場所があると感じたこと
・外仕事をすることで欅坂46の温かさを感じられた
映画『響』で共演した北川景子とは今でも月に一回食事をする仲だといいます。月川監督とも平手が納得のいくまで作品について語りあうことができた。平手が理想としていた自分が納得するまで突き詰める作品作りの形があったんだと思います。
じゃあ、アイドルを卒業して女優一本でいくという判断をするのかといったらそうではなくて、映画『響』という素晴らしい環境に出会えたのは欅坂46としての活動があったからだし、もし映画がうまくいかなかったとしても欅坂46にまた戻ればいいと潰しが効く感覚がどこかにあったのでしょう。
一度欅坂を離れてみて今の自分には欅坂46が必要なんだと感じたわけです。一般的に、失敗した時に戻る場所を作って保険をかけることは中途半端で覚悟が足りないと思われがちですが、人間というのはリスクばかりがある状態だと思い切った行動というのはできないんですよ。心のどこかに失敗しても大丈夫という安心感がないとリスクは冒せないんです。特に平手は人一倍心配症なことを考えるとアイドル欅坂46の平手友梨奈が初挑戦する映画として見られる方が、むしろ肩の力が抜けて一歩を踏み出そうと思えるんです。
欅坂46に恩返しをしたい
欅坂46を離れて客観的な視点になったときに欅坂46に助けられていることを知った平手は、インタビュー中なんども「欅坂46に恩返しをしたい」と語っています。欅坂46に借りがあるという感覚があることも認めていて、そういった心境の根底にあるものは“罪悪感”です。
精神的にムラがある子なので見方によっては平手のわがままのように捉えられることも多いのですが、誰よりも欅坂46のことを考えている子であることが分かってくるとやる気があるとかないとかそういう問題じゃないことが分かってきます。そんな単純な話じゃなくて、欅坂46のことは好きなんだけど、どこか納得できない部分があってモヤモヤしている。好きなんだけど好きじゃないというアンビバレントな感覚です。
そして自分が思うようにできないときもメンバーは私のことを支えてくれている。自分が自分らしくいられる環境を作ってくれている欅坂46に対して感謝の気持ちと同じだけの迷惑をかけてしまっていることへの罪悪感がある。
この恩返しをしない限りは辞められない。
だから平手友梨奈は欅坂46に戻ってきたんです。
欅坂46に関わってくれている全ての人への感謝が映画制作の現場を経験することで強く感じられたというのであれば、あのときの休養期間は意味のある休養だったんだと思います。
“欅坂46に対する恩返しがしたい”という欅坂46での活動の意味が明確になったことで、復帰する意味も見つかって気持ちがハッキリしたといいます。
普段会社員として働いている多くの人が働く意味とか考えないわけですよ。働く理由なんて稼がないと生きていけないから以外にないもないでしょう。好きなことかどうか、仕事をすることの意義などを考える前に当然のこととしてそれがある。
でも私たちがあえて見ないようにしている部分でもある「なぜ」を考え始めてしまうのが平手友梨奈だったりします。それはもうなぜ生きるのか、なぜ死ぬのか、といった哲学的な部分もあり答えの出ない問いを永遠としている感覚です。こういった答えのない問いを始めると意識的には答え探しを止めても、無意識的には答えを探し続けますが結局答えなんて出ないんですよ。
無意識は答えがないってことを理解できないので答えが出るまで探し続ける。この行為が神経を消耗させる原因にもなっていると思います。考えすぎるタイプというのは外から見た印象以上に疲れるんです。だから、2017年に歌番組で平手が抜け殻のようになってしまったのは負荷がかかりすぎて強制終了がかかってしまった。そんな感覚だと思っています。
平手にとって欅坂46に戻る理由がハッキリしたことで迷いが消え、このまま終わるわけにはいかないと割り切ることができたんです。
平手友梨奈が『黒い羊』MVを語る
『黒い羊』のMVについても語ってくれました。
2階はほんとに誰も受け入れてくれなかったから、それはそれで辛くて。あの、彼岸花が『僕』の心だったんですけど。2番の前では、全部自分で捨てちゃうから。
『ROCKIN'ON JAPAN2019年 04月号』より引用
そうですね。最初彼岸花を持っている平手は一度彼岸花を手放してしまいます。平手はハグでメンバーを救おうとするのに受けれてもらえず、自分の心である彼岸花をも手放してしまうことは僕の絶望をより一層強調しています。僕にとっての正義を否定されているわけで辛かったといいます。
それでも平手はこの曲をもらったときに少し自分を肯定された気分になって今までの楽曲にあったつっかかりがないと語っているので腑に落ちた感覚はあるんでしょうね。
黒い羊は邪魔者を指していますから欅坂46に迷惑をかけていると感じている平手にとって、自分の心を偽り白い羊に染まるぐらいなら僕は黒い羊のまま悪目立ちしていると歌う歌詞は、黒い羊は黒い羊のままでいいと肯定してくれているわけで平手にとっての救いになってくれているんです。
自分が欅坂46に存在する意味を『黒い羊』から感じ、映画製作で自分が欅坂46で活動する意味を感じた。
2017年から2018年にとって平手友梨奈にとっては考えすぎるぐらい考えて悩み苦しみ、いろんな葛藤との戦いがあったと思いますが、今は暗闇からは少しだけ抜け出てスッキリした感覚を感じています。そのせいか2019年に入ってからの平手は元気に見えますよ。
すべての活動は欅坂46に還元されていると考えれば外仕事だって意味がある活動です。少女が大人になる過程では大変なことも多いと思いますが、そこを乗り越えて彼女の頭の整理が少しずつついてきたんだと思います。
『黒い羊』が表現する世界観は重くても平手友梨奈にとって救いになっているのであれば欅坂46にとってこんなに明るい曲はありません。
まとめ
かなりのロングインタビューでした。
おかげでいま彼女が抱えている心境はほとんど網羅できる内容になっています。
なんかこの本を読んで安心しました。もう欅坂46としての活動をやるしかないと覚悟はできていて、怪我で思うようにダンスができないことに対してももどかしい感情を抱くほど今は活動することに意欲的になれているわけです。それだけ十分です。
また迷う時期も来るんでしょうが、その都度立ち止まったりしながら考えればいい。
少なくとも平手推しの人には希望を感じる内容だったと思います。
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