欅坂46の8枚目シングル『黒い羊』タイプCに収録されている『ヒールの高さ』のMVが公開されました。キャプテン菅井友香と副キャプテン守屋茜のユニットって意外となかったんですよね。「青空とMARRY」というユニットはあっても二人だけのユニットは初ということで、どんな曲になるのか楽しみにしていました。
目次
『ヒールの高さ』MV考察
2月27日(水)に発売される8thシングル『黒い羊』TYPE-C収録「ヒールの高さ」のミュージックビデオを欅坂46オフィシャルサイトで公開しました??
皆さま、是非ご覧ください??#欅坂46#黒い羊#ヒールの高さhttps://t.co/6GYhs2eRJg— 欅坂46 (@keyakizaka46) 2019年2月17日
まずは一度MVをご覧ください。
0:00~水に浮かぶ守屋&菅井 セリフにも注目
MVが始まると水に浮かぶ守屋が登場し、こんなセリフを言います。
「僕、もうあんな大きな闇の中だってこわくない」
続いて菅井の目線に切り替わり、菅井はこんな言葉を言います。
「きっと、みんなのほんとうのさいわいをさがしに行く。」
守屋と同じく水に浮かぶ菅井。
守屋:どこまでもどこまでも、僕たち一緒に進んで行こう。
この守屋のセリフからMVの物語は始まっていきます。
ここまでを見ただけでは二人の関係性までは見えてきませんが、キャプテン菅井、副キャプテン守屋という関係性からも「一緒に進んで行こう。」という言葉は二人の絆を感じさせてくれる言葉でした。
0:53~リンゴをかじる守屋茜
0:36~の曲のイントロは、それまでの重い世界観から一転してテンポのいい心地よさを感じさせてくれます。
二人だけのバス。後部座席に横たわる守屋と夜空を見上げる菅井。
0:53~横になりながらリンゴをかじる守屋。そんな守屋を寂し気な表情で見つめる菅井という構図です。
MVを最後まで見て、ここで守屋がリンゴを食べる意味を振り返ってみると、寝ながらリンゴを食べるというのも不自然なので気になったところです。
『ヒールの高さ』の歌詞の世界観は少女が大人になっていく中で感じている居心地の悪さです。朝の満員電車に揺られ白のシャツと黒いスーツに身をまとい会社に向かう。タイトルにある「ヒールの高さ」は大人になった証。
大人にはなったけど何を失くしてしまったような気がしている。でもそこに目を向けてしまうとつらくなるから見ないようにする。そんな子供と大人の間で揺れる思いを表現しているのですが、リンゴというのはヨーロッパでは「愛と若さ」の象徴とされています。
大人になろうとするけど、でも本当はもっと子供のままでいたいという欲求が「若さ」の象徴であるリンゴを食べるという行為に表されているのではないかと思うのです。ちなみにリンゴの花言葉の一つに「後悔」というものがあります。リンゴの意味を後悔で取るならば、やはり学生から就職して1年目、社会人としての生活に馴染めずに悩みながら夢を諦めたことへの後悔を表現しているとみることもできます。
1:08~水中を泳ぐのは無意識を掘り起こす作業
水の中を泳ぐ守屋が映し出され、またセリフが表示されます。
みんな探しているんだろう。
どこへ行ったんだろう。
そして平泳ぎで泳ぎ続ける守屋。
夢占いで海に潜っていく夢を見たときは「自分の中の無意識を掘り起こす作業」であるとされています。セリフの意味とも一致してきますね。MVを最後まで見たときに守屋が見ていた夢だったというオチなので夢占いの結果もあながち的外れではないでしょう。
本当に自分がやりたいことは今の仕事だったのだろうか、本当の自分に目を背けて社会の色に染まろうすることの息苦しさを感じるシーンです。
また、水中と女性は「人魚」を連想させます。
人魚が象徴するものは「純潔」「無償の愛」「優雅な美しさ」となります。守屋の美意識の高さとどうしても重なってしまうところです。自分自身への葛藤を表現しながら守屋の美しさも同時に表現したかったのではないかと思っています。
1:14~菅井友香の存在
1:14~は足にマニキュアを塗りあって、屋上のシーンでは菅井のいたずらから二人ではしゃぎあっています。
ここのシーンは個々の映像の意味を捉えていくよりも最後まで見たときに菅井はいつも一緒にいる猫だったことが分かります。それは自分一人で悩んでいたけど、自分は一人で生きているんじゃなくて近くにいる猫もパートナーとして私の人生を歩んでくれている。
そしてこれはキャプテンと副キャプテンの関係性にも通ずるところです。
2:23~肉を食べる二人
二人は屋上で横になり肉を食べます。
肉を食べる女の子っていうのも映像として見ると印象的なシーンですね。
肉は食べるというのは「生命力」の象徴です。
パートナーである菅井が生命力の象徴である肉を食べる。でも守屋は口をつけずにいる。
菅井は人間関係のことなど気にせず食べているのを見て守屋はちょっとうらやましく感じてしまう。猫を見て「猫は悩みがなくていいなぁ」って思ったりするじゃないですか。あんな感じです。菅井は語らずとも「あれ!食べないの?」と問いかけてくるのを守屋は見つめている。
2:48~わたり鳥
再びセリフの登場です。
いまこそわたれわたり鳥。
そして直後に肉を食べる守屋。
ここはそのまま意味を受け取ってわたり鳥のように今の場所から離れて前に進む決心がついた瞬間のように見えます。それが肉を食べるという行為でも表現されています。
3:44~夢から覚めた守屋茜
ソファーの守屋もバスの後部座席の守屋もどちらも目を覚まします。
横になっているのはバスの上でしょうか。
どうやってバスの上に登ったかは置いとくとして猫だとするなら簡単に行けそうです。
セリフが連続で続きます。
ぼくずいぶん泳いだぞ
ほんとうのさいわいは一体なんだろう。
僕わからない。
この畳みかける3つの言葉は菅井からの言葉です。そうなると今まで悩んでいた守屋と立場が逆転しています。
悩む守屋に見守る猫の菅井という構図で終わるのかと思いきやそうではなかった。悩みがなさそうに見える人も何かしらの悩みを抱えているんだよと言っているようです。
「ヒールの高さ=大人」だとするならヒールなんて脱ぎ捨ててしまいたいという思いと現実を生きていくことの息苦しさに悩みながらも前に進んで行こうとする守屋。それを見守る菅井という構図が基本にありながら菅井も悩みを抱えているという複雑さを残しながら物語はラストを迎えます。
まとめ
テンポのいいサウンドとは裏腹に歌詞やMVの世界観は守屋と菅井の2人と同世代の子が抱えている悩みを表現していてつらくなってきます。
副キャプテンである守屋が主役で、キャプテン菅井が猫というのも立場的には本来逆ですが、2人の関係性からすると優しいキャプテン菅井は前に前に行ってくれる守屋を見守る姿もリアルな表現なのかもしれません。
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