2月12日に行われたQ-pitch榎本出演舞台『リライト』を観に行ってきました。
同一公演を2チーム体制で行っている舞台で今回観に行ったのはWEST公演です。
中目黒のキンケロシアターという不思議な名前の舞台だなと思ったらキンキンとケロンパが名前の由来になっているんですね。座席も映画館のようなゆったりシートで、観ているこちらもとても見やすい舞台でした。
舞台を観ての感想やQ-pitch榎本あやせの演技についてもレポートします。記事の内容はネタバレが含まれているので、まだ観ていない方はご注意ください。
目次
舞台『リライト』感想
舞台を観た感想を3つのポイントにまとめると以下のようになります。
- ベースとなっているのはスターウォーズとバックトゥザフューチャー
- 伏線回収に時間がかかるため分かりづらい
- 悪役のキャラ設定
詳細を1つずつ見ていきましょう。
①ベースとなっているのはスターウォーズとバックトゥザフューチャー
タイムマシンを作って過去を変えるというのはバックトゥザフューチャーの世界観。
他人の心や動きをコントロールできるのはスターウォーズの世界観。
バックトゥザフューチャーの世界はタイムマシンで過去に戻るという話なので結構すんなり入ってきます。
でもスターウォーズの世界に関してはフォースの力を使えるようになっていたことで話を複雑にした印象があります。
未来人が2020年の人間には想像もつかないようなハイテク機器を使っているなら分かるんですが、超能力を使い始めてしまうともはや宇宙人になってしまうので、スターウォーズを観たことない人には未来人の設定が分かりづらい印象でした。
②伏線回収に時間がかかるため分かりづらい
随所に伏線が散りばめられている構成になっています。
最初に見た段階では何を意味しているのか分からないことが、物語が進行していくにつれて回収されていきます。
こういう作りはハマると観ている側も回収されたときに爽快ですし、脚本家としても気分がいいと思うんです。
しかし、今回の作品については開演が18:30で、最終的に答えが分かったのは20:22でした。そこまでずっとモヤモヤしていたことを考えると、どういう設定なのかずっと迷いながら観てしまいました。
未来の東が愛する妻を救おうと暴走するというのは分かります。
ここらへんはスターウォーズのアナキン・スカイウォーカーが歪んだ正義感によって闇落ちしてダース・ベイダーになってしまう流れと同じです。
そこでタイムマシンを作って過去を変えようというのも分かります。
これが変えたい過去が、妻が亡くなってしまった理由が誰かに殺害されたとか、当時は不治の病とされた病気の治療薬を未来で作って過去の妻を救うとかならシンプルでしっくりきます。
ですが、未来の東が殺そうとしていたのは過去の自分です。
別に過去の自分が愛する妻を殺したわけじゃないのに、なぜ殺そうとしているのだろうという点が分からなかった。
そもそも殺そうとしている学生と未来の東が同一人物というのも分かっていなかったので混乱してしまいました。
伏線を散らすと見ている人はその時点では答えが分からないのでモヤモヤします。観ている人のストレスを軽減するためにも東が暴走する理由や目的についてはもう少しシンプルでもよかったのではないでしょうか。
③悪役のキャラ設定
物語のカギを握るのは悪役の設定だと思っています。
なぜなら、主人公というのは正義感が強くて頭が悪いけど憎めない熱い気持ちを持ってるやつというのが基本設定じゃないですか。
最初は正義感や情熱ばかりが先走って誰も着いてきてくれず苦しみますが、徐々に主人公の熱量に心を打たれた人が味方してくれるようになって変わっていきます。
主人公が複雑だと観客が共感できないので、南条が過去に戻って空回りしながらも仲間との友情を感じるシーンもあり、いい構成だなと思いました。
このように主人公の設定はだいたい決まっているので、悪役をどれだけしっかり描くかで物語に奥行きが生まれてきます。
超シンプルな作りでいえば悪役を極悪にして苦しめられる主人公に感情移入させる勧善懲悪なストーリー。
アベンジャーズのようなヒーロー物はこんな感じですね。
途中でいろいろこじれますが、最終的には力を合わせて敵を倒してくれます。
でもスターウォーズが好きとなると、あまりシンプルすぎるのは好みではないでしょう。
スターウォーズのEP1なんて1回観ただけじゃ何を言ってるか全く分からないですからね(;^ω^)
そんなスターウォーズでもアナキン・スカイウォーカーは愛する人を守ろうとする正義感、カイロ・レンには闇堕ちしながらも迷い続ける弱さといった共感できる部分がありました。
舞台『リライト』の科学者東にも愛する人を守るためにタイムマシンを作成して過去をリライトするという大義名分があります。
そこは分かるんですが、不必要な人間を削減する人類選別化計画というのは何のためにやるんでしょうか。
この人類選別化計画があることによって東はただのヤベーやつっていう印象にしか見えなくなりました。
東という人間がなぜあそこまで暴走してしまったのか。その理由が愛する人を守るためだとするなら人類選別化計画は1個余計なキャラだったかなと思います。
Q-pitch榎本あやせの演技について
あやせに絞って見ていきましょう。
新人で未熟ながら強い正義感で命も惜しまないかっこいい役です。まぁこういう勢いで突っ走るタイプはだいたい死にますよね(;^_^A
普段より声を低くしているのは強さを表現したかったのでしょう。過去の舞台でも気が強い役をやっていたので、あやせの見た目の印象って気持ち強そうに見えるんですかね。
何年も見てると客観的な印象なんてもう分からなくなっています(^▽^;)
舞台終盤では感情を爆発させるシーンもありました。
感情をあそこまで解放するのは羞恥心が少しでもあるとできないものなので、着実に役者としての階段を登っているようです。
課題をあげるとすれば、メリハリの付け方でしょうか。
終盤の感情を爆発させるシーンでもMAXで爆発してる時間が結構長かった。
あのテンションで発狂してる人を、あの時間観ているのは観客にとってもキツイんです。時間は半分でいい。
ただこの点は脚本の部分なので、与えられた時間の中で工夫するとすればMAXで感情を爆発させるシーンを強調させるために、どの部分を抑えるのかという発想があってもいいと思います。
役柄として気持ちが強い設定なので強さを表現しているのは分かります。
でも、最初から最後までサビの楽曲なんてないわけで、サビを強調するためにどのようにその前後で引き立てるのかが考えられています。
しいてあげるとすればこれぐらいですかね。
出演シーンも多くて、今までの出演舞台の中でも一番重要な役でした。
役者としてもステップアップできている姿を見ることができて嬉しくなりました(*^▽^*)
まとめ
感想では辛めになってしまいましたが、2週間ほど前に見たつかこうへい作品と比べてもそん色ない舞台だったと思います。
脚本の発想もおもしろいですし、テンポのいいスピードにアクションも入っている盛りだくさんの内容で素晴らしい舞台でした。
それだけにもったいないなと思ってしまう部分もあったという感じです。
16日まで舞台は続くようなので、最後までがんばってくださいね(*^▽^*)
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