7月4日にSKE48が新曲『いきなりパンチライン』をリリースしました。
その新曲に関して先日のAKB48世界選抜総選挙で2位になった須田亜香里さんと11位の惣田紗莉渚さんがReal Soundのロングインタビューを受けています。今回はそのインタビューの内容から彼女たちの想いを見ていこうと思います。
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SKE48 須田亜香里&惣田紗莉渚が語る、グループの成長に必要なもの「今はチャレンジすべき時期」
いきなりパンチラインはいつもと違う自分たちを見せられる曲
ーー新シングルの表題曲「いきなりパンチライン」は、最近の路線からすると意外だな、という印象を受けました。
須田亜香里(以下、須田):夏に出るシングルということで、“ザ・SKE48の王道夏ソング!”みたいなのを想像してたんですけど、意外にものすごく情熱的な感じで。初めて聴いたときに「またいつもと違う自分たちを見せれるんだ」とワクワクしました。
惣田紗莉渚(以下、惣田):これまでSKE48は爽やかな夏曲が多かったですし、昨年の夏曲は可愛い「意外にマンゴー」だったんですが、今回は10周年を迎えるSKE48の“燃える夏”を感じてもらえる曲になっていると思います。
惣田紗莉渚さんも言っているようにこれまでのSKE48の夏曲というと爽やかでありながらダンスがしっかり揃っているというイメージでした。『ごめんね、SUMMER』『パレオはエメラルド』はまさにそんな感じですね。そして昨年の夏曲『意外にマンゴー』はかわいい曲でSKE48にしては意外な路線に感じた方も多いと思います。
そして2018年の夏曲は今回の『いきなりパンチライン』です。
フラメンコのような情熱的な楽曲に仕上がっています。須田亜香里さんが口にしている「意外にも」という言葉はまさにその通りでファンとしてもこういう曲を持ってくるんだという意外な気持ちになった一曲です。
意外に感じているということはSKE48にとってこの曲はチャレンジする曲となります。SKE48らしい王道曲をやるほうがファンにも受け入れてもらいやすいし歌っているメンバーとしても慣れているので安心感があります。しかし、SLE48結成10周年を迎えた今年、新たなSKE48を見せるんだという思いを表現するためには王道ではなく変化を印象付ける楽曲を持ってきたということです。
AKB48に『UZA』という楽曲があります。この曲は、いわゆるAKB48らしくない曲です。
かわいいアイドル系の楽曲ではなく、ダンスで魅せることを意識した曲であることは明らかで当時のAKB48最高難度と言われた楽曲です。今では聞きなれた曲となりましたが初お披露目された当初はSNS上に批判的な声が目立ちました。
必ず変化をすると違和感があるので受け入れられない人が出てきます。『UZA』もその典型だったように思いますが、無難に王道ばかりをやっているといつか飽きられるのは見えています。目先だけを見ていると手詰まりを起こすことは見えているのであればリスクを冒してでも意外な楽曲を出していくことは長い目で見れば必要なことです。
ーー惣田さんの話にもありましたが、最近のシングルは小畑優奈さんをセンターに据えていて、見ている側としては世代交代を打ち出しているのかなと思ったら、ここにきて松井珠理奈さんがセンターに返り咲きました。10周年の真ん中の時期ですごく大切なタイミングだったから、あらためて“今のSKE48とは?”みたいなものを打ち出したかったのかなと感じたのですが。
惣田:楽曲としても珠理奈さんのセンターが本当に似合う曲だと思いますし、MV撮影などで一緒に踊っていると、珠理奈さんから出るオーラがすごくて。これからもっと踊る回数を重ねていって、珠理奈さんに負けないくらい全員が情熱的な気持ちを出せたら、グループとしても成長できるような気がします。センターに関しては、ゆなな(小畑)を含め色んな人がセンターをやることで、みんなにチャンスがあると感じているので、若いメンバーも含め、遠慮せずにどんどん真ん中を狙えるグループになっていると思います。
松井珠理奈さんがセンターと務めていたところから小畑優奈さんをセンターに据えるようになり、SKE48全体が世代交代を打ち出していたことは間違ないです。ですが、今回はまた松井珠理奈さんに戻してきました。この点について、惣田紗莉渚さんは新曲『いきなりパンチライン』が松井珠理奈に合っている曲であったことや小畑優奈さんに松井珠理奈さんのような表現力を身につけてもらうための期間という解釈をしています。
もちろんそういった意味もあるんでしょうが、やはりSKE48が10周年という記念の年の曲だけにSKR48の象徴である松井珠理奈さんにセンターをやらせていることやプロデューサーの秋元康さんなりの考え方に由来していると思います。
秋元康さんは予定調和を嫌いながらも王道路線を強く意識しています。ヒットメーカー秋元康ほどの人間になればファンに受けられやすい楽曲だから王道と言われることぐらいは当然に分かっています。安易に予定調和を崩して個性を出そうとすると受け入れられにくい楽曲が仕上がってしまうため、変化を意識したつもりが違和感しか感じない曲になってしまうわけです。
では、どうすればいいのかといえば王道路線の安心感と変化を意識したときに生じる違和感のバランス感覚です。変化しようとしたときに多くの人が失敗するのは激変させすぎて着いていけなくなるパターンです。意外性ばかりに囚われてSKE48がデスボイスとかやり始めたらSKE48ファンは嫌でしょう。
今回は『いきなりパンチライン』という楽曲での意外性を出しながらもセンターは安定感のある松井珠理奈さんを置くことで見ている人の安心感は保持されているという、このバランス感覚こそが秋元康さんらしいプロデュースだなと感じています。
SKE48はダンスが魅力だ
ーーチャレンジといえば、今回MVで見せているダンスはかなり激しめですよね。
惣田:ダンスもそうですし、MV撮影ではステージがひし形だったので、フォーメーションも結構難しかったです。
須田:自分がどこに立ってるのかわからなくなっちゃって、振付師のえんどぅさんに何回も「列が汚い!」って怒られました……。
ーーやっぱりひし形のステージだと、ポジションの番号が取りにくかったたりするんですか?
惣田:今回の振り付けでは、久しぶりに先生に怒られるという経験をしたんです。でも、「今言ったこと、二度と言わないからちゃんとやって!」と檄を飛ばしてくれたり、集中力も切れないまま続いたので、全体的にも気が引き締まって良かったと思います。
ダンスが振り付けが難しくて先生に怒られたというエピソードを語ってくれています。MVを見れば分かりますがフォーメーションがかなり難しいことはダンスができない自分でも分かります。ピラミッド型のフォーメーションなので列がズレると美しくない点を先生もこだわって指摘した部分なんでしょう。
そんな先生からの厳しい声も惣田紗莉渚さんは気が引き締まってよかったと言っています。もちろん先生に怒られてムカついたとは言わないだろうというのは当然としても、SKE48は10年前に結成した当初はやりすぎと言えるほどハードなトレーニングで先生に何度も怒られて涙をしながら成長してきたという歴史があります。
当時を知るSKE48メンバーは今ではわずかとなってしまいましたが、SKE48は伝統的に厳しい環境の中で決められたことをしっかりとやることが向いているんです。反面、自由を与えられるとどうしたらいいか分からないという弱点はあるんですが、SKE48の長所であるダンスを表現するためには緊張感がある撮影環境を作ることはMVのクオリティを高めるうえで必要なことだったんです。
須田:少し前にガイシホールでのコンサートをやらせてもらって、改めて自分たちで「SKE48はダンスが魅力だ」ということを推していくべきじゃないか、とメンバー全員が思っていたので嬉しいです。
ーーMCでも「SKE48はダンスが売りだったのに、姉妹グループが増えて、『自分たちといえば』を見失いがちだったけど、本当に自分たちの記憶力と体の限界を超えながら、今日まで来れたことがとっても幸せ」と話していましたもんね。
須田:最近ダンスを推してる姉妹グループやライバルグループが多くなってきたことで、自信を持ってダンスが売りだと言えなくなった時期もあったんですけど、ガイシホール前のレッスンで、改めてそれを言ってもいいと思えるくらい突き詰めたのは大きかったです。
SKE48が発足したときにはすでにAKB48が有名なグループになっていました。ダンスのクオリティでは到底敵わないとなると何で勝負するのかと考えたときに、誰よりもがむしゃらに、誰よりも全力で踊ることならできる。そう考えたSKE48はいつからか「ダンスのSKE」と言われるようになりました。
それが姉妹グループも増えたこともそうですが、モーニング娘。のフォーメーションダンスや全力ダンスが売りのももクロなどSKEはダンスって自信を持っていうのは気が引けてしまう気持ちも分かります。自分たちの長所を長所と自信を持って言えない感覚。これこそがSKE48が他の姉妹グループに比べて頭打ちになっている印象を与えていた要因です。
そうやって自信を失う時を経て改めてSKE48はダンスが魅力なんだと意思統一ができたのは大きいですね。1周回って来ることって結局答えそのものとしては元に戻ってくるわけで、今までの時間はなんだったんだと思ってしまいがちですが、いろんな経験をしていく中でやっぱり私たちにはダンスしかないんだという結論に行きついたことはけしてムダではないんです。
地元ガイシホールでコンサートをやり、AKB48世界選抜総選挙もナゴヤドームで1位と2位をSKE48が独占した。10年経ったいま、再度SKE48の流れがやってきている気がします。この流れが来た理由は様々あるかと思いますが、SKE48メンバーそれぞれに自信がついてきたからというのもあるはずです。ダンスこそが私たちの売りなんだという意識を共有できたのは大きいですね。
「“浮く”のを怖がるのはもったいない」
ーーグループとしてはそういうグイグイ前に出てくるメンバーが少なくなったという印象なんですか?
須田:私はもっと個性が欲しいです。肝が座ってる子はやっぱりイジりやすいし、一緒にトークしてても次の展開を考えてあげやすいので。怖気づいて裏では「お疲れ様です」しか言えない子とかもいるんですけど、多少失礼でもいいからポンポン喋ってきてほしいんです。
惣田:入ってきたばかりの子って、最初は同期でずっと行動してて目立たないようにしてるんですけど、もうちょっと浮いても良いのになと思います。
須田:浮いてた先輩の代表格は言うことが違うわ(笑)。
このトークの流れでは須田亜香里さんが笑い話にしていますが、SKE48の10年の歴史を見ても須田亜香里は浮いていたメンバーの代表格でしょう。そして、惣田紗莉渚さんは須田亜香里よりだいぶ後輩になりますが、惣田紗莉渚さんも相当浮いていたメンバーです。
浮くって他のメンバーと違う個性を発揮するから結果的に浮いてしまうんです。浮くって怖いですよね。特に横並びをよしとする女の子集団の中で浮いてしまうと下手したらいじめられる対象になってしまうかもしれない。
でもそういった恐怖心に負けずに自分をアピールしてきたのが須田亜香里さんであり、惣田紗莉渚さんなんです。
この2人にはクラシックバレエをやっていた点や負けず嫌いであることなど共通点と感じる部分が結構あるんです。本当にプロ意識が強き2人なので、アイドルを遊びでやっているわけじゃないという思いが伝わってくるし、絶対に自分をアピールするんだという強気気持ちが他のメンバーを圧倒しています。
例えば、須田亜香里さんはトーク番組で「特技はありますか?」と振られたときに決まって体の柔らかさをアピールしていました。
こういう特技って普段から一緒にいるメンバーからすると何度も見ているものです。ついつい「また同じ事やってるよ」って思われるんじゃないかと思ってしまいます。でも、本来そんな目線はどうでもいいわけです。多くの人は私のことを知らない。そんな私を知らない人にアピールする特技があるのであれば積極的にアピールしていく。テレビでアピールできるチャンスがあるのであれば浮こうが悪目立ちしようが構わない。
そういった覚悟があるから須田亜香里さんが2位、惣田紗莉渚さんが11位へと成り上がっていったんです。
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