10月11日に公開された映画『空の青さを知る人よ』を見てきました。
長井龍雪監督作品は見たことはないものの『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『心が叫びたがってるんだ。』といった作品名は耳にしたことがありました。そして今回の主題歌をあいみょんが歌っているということから公開前から気になっていた作品でした。
たまたま公開初日の11日がお休みだったこともあって初日に見ることができました。
それでは映画『空の青さを知る人よ』のレポートです。
映画『空の青さを知る人よ』あらすじ
映画『#空の青さを知る人よ』
\公開記念舞台挨拶 開催決定????/10/20(日)TOHOシネマズ日比谷にて?
9:45の回?????詳しくは公式HPまで??https://t.co/HFa6jyQxlc#空青 #吉沢亮 #吉岡里帆 #若山詩音 #長井龍雪 pic.twitter.com/bgd8leqnk4
? 映画『空の青さを知る人よ』 (@soraaoproject) October 11, 2019
山に囲まれた町に住む、17歳の高校二年生・相生あおい。
将来の進路を決める大事な時期なのに、受験勉強もせず、暇さえあれば大好きなベースを弾いて音楽漬けの毎日。そんなあおいが心配でしょうがない姉・あかね。二人は、13年前に事故で両親を失った。
当時高校三年生だったあかねは恋人との上京を断念して、地元で就職。それ以来、あおいの親代わりになり、二人きりで暮らしてきたのだ。あおいは自分を育てるために、恋愛もせず色んなことをあきらめて生きてきた姉に、負い目を感じていた。姉の人生から自由を奪ってしまったと…。
そんなある日。町で開催される音楽祭のゲストに、大物歌手・新渡戸団吉が決定。そのバックミュージシャンとして、ある男の名前が発表された。金室慎之介。あかねのかつての恋人であり、あおいに音楽の楽しさを教えてくれた憧れの人。高校卒業後、東京に出て行ったきり音信不通になっていた慎之介が、ついに帰ってくる…。
それを知ったあおいの前に、突然“彼”が現れた。“彼”は、しんの。高校生時代の姿のままで、過去から時間を超えてやって来た18歳の金室慎之介。思わぬ再会から、しんのへの憧れが恋へと変わっていくあおい。一方で、13年ぶりに再会を果たす、あかねと慎之介。せつなくてふしぎな四角関係…過去と現在をつなぐ、「二度目の初恋」が始まる。
映画『空の青さを知る人よ』レビュー
[明日公開] 映画『空の青さを知る人よ』長井龍雪による新作長編オリジナルアニメ、“あの花”の制作勢も再集結 - https://t.co/mkcyjzOLV3 pic.twitter.com/OtPhOOSrRy
? Fashion Press (@fashionpressnet) October 10, 2019
映像美
アニメを見る際に重視しているのは映像の美しさ。
『君の名は。』『天気の子』で有名な新海誠監督の作品は構成も去ることながら街並みや風景の映像が美しい作品です。細かい部分が繊細なタッチで描かれています。
そしてもう一つは女の子がかわいいこと。
これは自分がアイドルを好きなこともあるのかもしれませんが、物語のカギを握るのはヒロインだと思うんです。それは男が主役の作品であったとしても変わらずにヒロインがカギなんです。
女の子をしっかりとかわいく描けることが作品全体のクオリティを左右するといっても過言ではありません。
今回の『空の青さを知る人よ』長井龍雪監督も風景や街並みの美しさ、女の子をかわいく描くという2点を満たしていました。
この前提があることで作品の引き込まれ方が大きく変わってきます。
以前、『海獣の子供』という映画を観たんですが、内容どうこうよりも映像が受け付けませんでした。予告である程度は分かっていたこととはいえ、やはりイラストの相性は事前に確認しておいたほうがよさそうです。
理由付けがはっきりした構成
イマイチ感情移入ができない映画というのは前振りが効いていないんです。
なぜこの子は頑なに心を開かないのか、素直になれないのか、好きになってしまったのか。こういった理由付けがはっきりしていると共感しやくなります。
相生あおい:物語のヒロインとなる女の子。幼くして両親をなくしたことも影響してか心を閉ざしている。高校卒業後は家を離れて東京でバンドをやると宣言。これって幼くして両親が亡くなってしまったことで姉のあかねが親の代わりをやってきたわけです。そのことであかねは自分よりもあおいのために尽くしてきたことを分かっているあおいは自分があかねの人生の重荷になっていることに負い目を感じています。
金室慎之介:大人になった金室慎之介は上京したものの思い通りにいかず夢破れて故郷へ。高校時代の夢と希望に満ちていた姿との対比で現実を知った落ちぶれた大人を強調します。
相生あかね:常に自分よりも妹のことを優先してきたよく出来た子。地元で生まれて地元で就職していく子の中には、地元が大好きで残っているというよりも家の相続であったり、家庭の事情で出られない子もいると思います。あかねも妹を優先して生きてきたわけですが、金室慎之介との再会によって本心に気づいていくことになります。
この3人に加えて金室慎之介の生霊であるしんのという4名がメインになって展開されます。
生霊しんのは3人それぞれにとって自分の本音に気づかせてくれる存在として機能しています。しんのの純粋さがそうさせるのでしょう。3人が抱えているものにはちゃんと理由があって、自分を押し殺してしまう理由も納得させてくれる理由付けがある点がこの作品に深みを与えています。
大人になってから見たい映画
普段アニメを見ない大人でも十分楽しめる内容だと思います。むしろ子供より大人のほうが感情移入できる内容です。
生霊しんのみたいに無邪気で夢と希望しかない若者っていうのがメインで描かれる作品が多い中で、対照的な大人になった金室慎之介のように現実を知ってあおいにきつく当たるギタリストは悪として描かれるのが定番です。
しかし『空の青さを知る人よ』という作品は、夢は必ず叶うんだ!っていう理想論ではなく、それぞれが現実を見たうえで夢だけじゃ生きていけないよね。生きていくためにはお金が必要だし、年齢も年齢だし・・・という超現実主義の視点が前提にあります。
ここを前提にしたうえで、生霊しんのに出会ってそれでも自分自身に素直にならないと後悔しちゃうよという本音を問われる作品です。そのため大人になってある程度人生経験をしてから見たほうがあおい、あかね、金室慎之介への共感ができると思うんです。
まとめ
「井の中の蛙 大海を知らず」と言われるわけですが、井の中の蛙でも空の青さは知っているという意味も含めて『空の青さを知る人よ』というタイトルになっています。
これはしんのが終盤に金室慎之介へ言うセリフにも通じるところで、大海に飛び込んでみて結果的に井の中の蛙であったことを知ったとしても大海に飛び込んだ勇気は認めているところ、あかねのように井の中にいることを選択したとした人間であっても空の青さなら知ることができると認めているところ。
そんな最後にはお互いがお互いを認め合える関係となって終わっているところに構成の美しさを感じました。
これはいい作品だと思います。観て損はない作品ですよ。
エンディングに流れるあいみょんの楽曲もエンドロールに映される映像とマッチしていて世界観になった楽曲でした。映画を観に行った人はエンドロールの楽曲と映像に見どころなのでぜひ最後まで見てくださいね。
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