愛知県のご当地アイドル「愛の葉Girls」のメンバーであった大本萌景(ほのか)さんが2018年の3月に16歳という若さで自殺された事件をめぐって遺族が所属会社をパワハラの疑いがあるとして損害賠償を求めて提訴しました。
長時間労働、金銭トラブル、高圧的なLINEのメッセージなどワイドショーを中心に連日報道されていく中でアイドルがどのような扱いを受けているのかが明らかになってきています。今回はアイドル運営によるパワハラについてお話ししていきます。
目次
常態化している「やりがい搾取」と安すぎる給料
大本萌景さんに関する事件の詳細についてはニュース記事やワイドショーを見ていただいたほうがよっぽど詳しく解説されていると思うので、詳細については他の記事を見ていただくとして今回の事件を見て最初に思ったのは地下アイドルを中心に運営のパワハラというのはよく聞く話だなということです。
長時間労働をさせられているのに給料は薄給で交通費も出してもらえない。学業との両立に苦しむアイドル、生活費を稼ぐために深夜のアルバイトでなんとか暮らしているアイドルなどアイドルの現状は想像以上に厳しいものがあります。
それでもなぜ続けているのかといえば夢を追い求めているから。
つまり、アイドルという職業にやりがいを感じているから続けているわけで、ある意味、アイドル運営はアイドルがやりがいを感じているのをいいことに過酷な労働条件を受け入れさせているというのが現状です。
アイドルがやりがいを感じているのをいいことに搾取されてしまっているんです。
アイドルに限らず、お笑い芸人や舞台役者のように本業以外の仕事では生活ができないためアルバイトをしながら夢を追い求めている人はいっぱいいます。そう考えると給料の面だけを見て一概に運営批判もできない面もありますが、休みが月に1日しかない状況であったことを考えると大本萌景さんの給料は月の平均で3万5000円は安すぎます。
土日は早朝から深夜にまで仕事が及ぶこともあり、丸1日拘束していることを考えると最低賃金で働いたとしてもあまりにも安すぎる給料です。長時間労働による労働基準法違反である点も含めて運営には大きな問題があったと思います。もともとの給料が低いうえに過剰な罰金規定もあったのでは給料をもらうどころかすぐにマイナスになってしまうような状況です。
アイドルはパワハラを受けたときにどのように対応するべきか
大本萌景さんは自殺という最悪の結末を迎えてしまいました。運営からのパワハラがあったかどうかについては今後裁判が進むにつれて分かっていくかと思いますが、高圧的な対応をしていたことは運営も認めています。
大本さんが学業を優先するためにイベントを欠席したいと伝えると運営からは「お前の感想はいらん。学校の判断と親御さんの判断の結果をそれぞれ教えろ。」「なぜ学校がダメと結論したのか、親御さんがダメと判断したのか、その理由だ。」といったメッセージが送られているのを見ると、大本さんが運営の態度にストレスを感じていたことは容易に想像できます。
愛の葉Girlsの運営だけでなくアイドルの運営には恐怖政治のようなやり方をしている運営はいくらでもいるでしょう。
具体的にどこの運営がホワイトで、どこの運営がブラックか、という統計を取ったわけではありませんが、SNSをチェックしているとアイドルからのSOSはよく見かける光景なので珍しいことではないんです。
では、アイドルが運営からパワハラを受けていた場合どのように対応するべきなのでしょうか。
全力で逃げる
自殺が頭をよぎるほど追い詰められる状況になったらとにかく全力で逃げてください。
これはアイドルでも会社でも学校でも当てはまることで、そこまでヤバい状況になったのであればバックれてもいいからとにかく辞めるってことです。
当然円満な卒業が望ましいことは分かっています。パワハラをしてくるような運営ですから逃げても追いかけてくることでしょう。でも瀕死の状態でどうやって戦おうっていうんです。HPが1しか残っていないんじゃ選択肢は逃げるしかないでしょう。まずは体力を回復させて戦える状態に戻してから戦場に出るものです。
ゲームでは当たり前のことがリアルの人生では見えなくなってしまいます。嫌われても叩かれても恥をかいてもいいから最後の決断をする前に逃げることを優先してください。
ファンのことは考えなくていい
運営には不満がある。でもファンの人と会えなくなってしまうと考えると辞める決断ができない。そんなことを考えることもあるでしょう。
アイドルをやっているぐらいだからこれまで応援してくれていたファンの方には恩があるはずです。その人のことを考えると裏切ることはできないと考えてしまう。
もちろんそれはアイドルとして素晴らしい考え方だと思います。でも、ファンはステージで輝くあなたや人間性に惹かれて応援しているのであって主体は常にアイドル自身です。毎日が苦しくて苦してしょうがないのにファンがいるから辞められないとなれば、ファンがその子の足を引っ張っていることになります。
そんなのファンが望んでいるとは到底思えません。続けるのも辞めるのもアイドルが下した決断を受けてファンは判断すればいいだけの話であってファンがいるから辞められないというのは一度頭から外してしまいましょう。
証拠を集める
アイドルの子がやってしまうありがちな過ちがSNSで運営への不満を爆発させてしまうことです。
完全に追い詰められた状況になっているのであれば最後の手段として絶対にダメとはいいませんが、それをやった時点で今後その事務所で働きにくくなることは明白で、さらにファンにはまったく関係ないと考えると望ましくはないですよね。
本来であればSNSで発信する前に契約上の問題であれば法的な手段を検討するべきです。
ただ10代20代のアイドルに事務所を相手に裁判を起こすというのはなかなか難しい話で、印象も悪くなることを考えるとなかなかそこまで頭が回らないのも事実でしょう。
だから、今後のことを考えてまずは証拠集めをするんです。
SNSで不満を爆発させてしまう前にまずは警戒されないようにLINEのやりとりを保存したり、普段の会話を録音したりする。特に発言に関しては言った言わないの話に必ずなってくるので録音が大事。
若い子と大人の時間の価値は等価値なのか
よくあるアイドル運営批判で「若い子の大事な時間を預かるんだから運営は責任持て!」っての見かけますが「え?大人達の時間も等しく大事な時間じゃない?」といつも思ってる。逆に「大人たちの時間を借りるんだからメンバーも責任持て!」も成り立つはず。時間の価値に大人も若い子もないでしょ。。
— 本間翔太 (@btrstaff) 2018年10月18日
大本さんの件とは関係ありませんが、Twitterでこのような発言を目にしました。
時間の価値に大人も子どももないだろうというのです。この発言については理解できます。大人だから子どもだからと区別すること自体が間違っているということです。
ただこの方が実際にアイドル運営をされていることを考えると、運営がそれを言っちゃうのはどうなの? と思ってしまいます。
理屈では確かに時間の価値に年齢は関係ありません。それが10歳の子どもであろうと芸歴10年以上の20代アイドルであろうとお金をもらっている以上は同じプロのタレントですからプロ意識を持って働くべきです。
しかし、現実的には10歳の子どもにお金の価値やプロ意識を伝えたところで大人と同じように実感するのは無理でしょう。そのことも理解した上で運営として接する姿勢は必要です。
「若い子の大事な時間を預かるんだから運営は責任持て!」という批判には「大人の時間は大事な時間じゃない」という意味はありません。若い子も大人も等しく大事な時間であることは分かっています。でも現実として子どもに実感させるのは難しい面があるので運営としてはしっかりと教えていくという教育的な視野がどうしても必要なんです。
中学生、高校生の多感な時期をどう過ごすかは、その子の人生を大きく左右する重要な時期です。その大事な時期を預かっているんだという自覚がなければ10代の女の子を預かっていく資格が運営にあるのでしょうか。未成年のタレントを扱うということはそういうことです。
言っていることは間違っていないけれども、若い子の大切な時間を預かっているんだという意識を持って運営していればこういう発言にはならないはずです。
まとめ
大本萌景さんを今回のニュースで初めて知りました。ワイドショーで紹介されるときの写真を1枚1枚を見ても本当にいい表情をしているし、いい子だったんだろうなというのが伝わってきます。それだけの亡くなってしまったのは残念です。
今回の件を受けて二度とこのようなことが起きないためにも、もしアイドル活動をしている子でパワハラを受けている子がこの記事を見ているなら最後の決断をする前に全力で逃げるということも視野に入れておいてほしいなと思います。
人生はアイドルだけじゃないし、もしアイドル活動をしたいなら他のアイドルグループに移籍することだって可能です。そのことだけは覚えておいてくださいね。
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