8月2日から開幕する第16回WBSC世界女子ソフトボール選手権大会に北京オリンピックで日本の金メダルに貢献した上野由岐子が出場します。今年7月22日で36歳になったベテラン右腕についてまとめていきましょう。
目次
上野由岐子のプロフィール
出典:ビックカメラ女子ソフトボール部プロフィールページ https://www.biccamera.co.jp/sport_activity/members/ueno_y_profile.html
名前:上野 由岐子(うえの ゆきこ)
出身地 福岡県福岡市
生年月日 1982年7月22日(36歳)
身長・体重 174cm
出身校:九州女子高等学校(現・福岡大学附属若葉高等学校)
所属:ビックカメラ女子ソフトボール高崎
オリンピックではアテネオリンピック銅メダル、北京オリンピック金メダル。北京オリンピックを最後にソフトボールがオリンピック競技から外れたためオリンピックでのソフトボール最後の金メダリストになっています。その後、ソフトボールは2020年東京オリンピックから正式競技に復活することもあり、上野由岐子選手は東京オリンピックまでの現役続行を明言しています。
上野由岐子ソフトボールとの出会い
小学3年生のときに父親とジョギングをしていたときにたまたまソフトボールの試合の見て、そのときにソフトボールの監督の車に乗っていた子がクラスメートだったこともありソフトボールを始めたといいます。
だからソフトボールが好きで始めたというわけではなく、それがサッカーであればサッカーだったし、野球であれば野球だったと本人も認めているぐらいソフトボールとの出会いは偶然なんです。
加入したのは女子ソフトボールではなく男子のソフトボールチームでしたが、小学校のときに県大会優勝、中学校のときに全国制覇と当初から実力を発揮していました。高校2年の時は当時最年少で世界ジュニア選手権でエースとして優勝。球速はすでに107キロを計測していて日本人最速を記録するほどの実力者でした。
シドニーオリンピック候補にも挙がるほどの当時から上野由岐子選手の評価は高いものでしたが体育の授業でケガをしたことにより3か月の入院をしてしまいます。そのことでシドニーオリンピックの出場は流れてしまいました。
しかし、上野由岐子本人はその後、全日本に入ったときに候補入りしていたことを知っただけで高校時代は自分が代表候補になっているとは知らなかったといいます。
アテネオリンピック銅メダル、北京オリンピック金メダル
シドニーオリンピックを惜しくもケガで選考に漏れてしまった上野由岐子選手ですが4年後のアテネオリンピックでは銅メダルを獲得しています。このときにはすでにエースとして日本代表を牽引する存在になっていた上野由岐子さんですが開幕戦となるオーストラリア戦では4回3失点という内容。
予選の中国戦ではオリンピック史上初の完全試合、決勝トーナメントの中国戦でも完封勝利を果たすも中国は日本からすれば格下の国。本当に大事な試合を任せてもらえなかったことを悔しいと言っています。
上野由岐子選手がよく口にするのが「信頼関係」という言葉です。
以前、小学生の女子ソフトボールチームを指導するテレビ番組がありました。
そのときに1球に対してみんなで集中すること大切さを説いていたのが印象的です。ソフトボールはチームプレーなんだから一人のミスが全体に影響する。またそれは同時にソフトボールは個人の力だけではなく周りのメンバーを信頼して初めて成立する競技であることを真剣に伝えていてチームとしての信頼関係がいかに大切なことであるかを感じた番組でした。
大事な試合を任される信頼関係、ピンチになっても続投を任される信頼関係。
そういった監督との信頼関係のなさを感じたアテネであり、北京オリンピックでは2日間3試合で413球の熱投という超人的な投球で日本を金メダルに導いてくれました。体力的にもきつかったはずです。それでも投げきれたのはやはり監督への信頼に応えたいという気持ちもあったのだと思います。
上野由岐子投手の球速
上野由岐子投手の121キロというボールは世界的に見ても最高レベルの球速です。
男子プロ野球とは投手からキャッチャーまでの距離が違うので単純に球速比較はできませんが、野球でいうと170キロぐらいの感覚になるといいます。
以前番組の企画でプロ野球選手が上野由岐子選手と対戦したときには3イニングあっても1点も獲ることができませんでした。
また、この動画でも分かるように上野由岐子選手というと球速ばかりが強調されていますが、上野由岐子選手のすごさは球速だけでなくバッターの反応を見て投げる球を変えてくるところやキャッチャーの構えたところにほとんど狂いなく投げることができるコントロールの良さもあります。
球速、コントロール、配球、体力といった投手としての総合能力の高さこそが日本を金メダルに導いた上野由岐子選手の本当のすごさということです。
上野由岐子選手の年収
女子ソフトボール選手の月給は平均でいうと10万円程度というケースが多いようです。もちろんそれだけは生活ができないのでアルバイトをしながら現役を続けているというのだから大変ですね。
上野由岐子選手の場合はビックカメラとの契約があるのでまだマシということですが、それでも20万円弱ぐらいといいます。
上野由岐子選手ぐらいの知名度になると多少はスポンサー契約もあるのかもしれません。しかし、そういった契約ができるのも一部の選手だけとなると女子ソフトボールというのはオリンピック競技から外れてしまった影響も含めて厳しい環境が続いているということです。
オリンピックで金メダルを獲った選手の生活環境が厳しいという現状はどうにかならないものかと思ってしまいます。国によっては金メダルを獲得すればその後の生活は安泰となるケースもあると聞きます。国の威信を賭けての戦いに挑んで金メダルを獲得した選手たちをもう少し優遇してもいいのではないでしょうか。
上野由岐子選手の名言
上野由岐子選手の名言をいくつか紹介します。
本当に日常=(イコール)グラウンドと自分たちでよく言うんですけど、日ごろできないことはグラウンドに出てもできない。だから、グラウンドで一流になりたいんだったら、日常生活も一流にならないと。ソフトボールはグラウンドだけがすべてじゃないので
出典:『マルチョン名言集・格言集』 http://meigen.keiziban-jp.com/%E4%B8%8A%E9%87%8E%E7%94%B1%E5%B2%90%E5%AD%90
上野由岐子選手らしい言葉です。ソフトボールを通じて人格形成をされてきたことが分かります。
うちの場合は特にソフトボール部専用の寮なので、本当に365日みんなと一緒にいるという感覚なんですけど、その中で先輩とか後輩という人間がいても、試合になればみんなが、先輩後輩関係なく力を合わせてやっていかなきゃいけないわけだし、後輩が先輩に言わなきゃいけないことがあったりもするわけなので。そういう、「言える環境」を寮生活の中でつくっていかなきゃいけないと思います
出典:『マルチョン名言集・格言集』 http://meigen.keiziban-jp.com/%E4%B8%8A%E9%87%8E%E7%94%B1%E5%B2%90%E5%AD%90
日大アメフト部の問題もあり体育会系の悪い伝統のようなものがクローズアップされてがちですが、本当に勝ちたいと思ったら風通しのいい環境を作らなければ勝ち上がっていくことはできないんだと思います。
みんなのために自分は投げなきゃいけないと思うし、自分が打たれても、みんなが上野のためにと思って打ってくれるわけで、それがある意味信頼関係だと思う
出典:『マルチョン名言集・格言集』 http://meigen.keiziban-jp.com/%E4%B8%8A%E9%87%8E%E7%94%B1%E5%B2%90%E5%AD%90
常にソフトボールには信頼関係が重要であると言っている上野由岐子選手の哲学がもっとも表れている言葉ですね。
まとめ
上野由岐子選手もすでに36歳になりました。近年はケガの影響もあり体調も万全ではないシーズンもあったようですが今回の第16回WBSC世界女子ソフトボール選手権大会や2020年東京オリンピックに向けて、精神的支柱としてベテラン上野由岐子選手の存在はまだまだ必要な選手です。
8月2日から始まる予選リーグを突破して日本のZOZOマリンスタジアムで行われる決勝戦で上野由岐子選手が日本を優勝に導いてくれることを期待しています。
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