東京オリンピックのマラソンを猛暑の中でやるのは大変だということからサマータイムを導入して2時間時計の針を進めるという議論がされていますが、サマータイムは世界的には中止する国が出るほどデメリットばかりの制度であって今さらなにを言ってるんだという感覚になります。
サマータイム導入がどれほどデメリットが多いかまとめていきます。
サマータイムはなぜ導入されたのか?
明るい時間を長く使うことで社会生活を充実させて消費電力を抑えようという考え方が基本にあります。暗い時間に仕事をしないんだから電気も使わないだろうというわけですね。時間を1時間から2時間進めることになるので朝はだいたい6時とか5時には起きるという感覚になります。
サマータイムが導入された経緯はアメリカ建国の父と言われるベンジャミン・フランクリン。フランス大使時代に朝6時に目を覚ましたら日が昇っていて驚いたところで気づいたというわけですが、日が何時に昇るって日々の生活の中で気づかなかったのかよって思ってしまいます(笑)
私が自分だけのために働いているときには、自分だけしか私のために働かなかった。しかし、私が人のために働くようになってからは、人も私のために働いてくれたのだ。
- ベンジャミン・フランクリン -(米国の政治家、外交官、著述家、物理学者、気象学者 / 1706~1790) pic.twitter.com/gAMKEcG9eP— 仕事・ビジネス考察@相互フォロー100% (@ippo_inoue) 2017年12月30日
この時代のフランスというのは午後に起床するのが一般的だったといいます。いったいどんな生活をしていたんだって感じですね。そこで早い時間に起きて仕事をしてしまえば高価なロウソクを使う時間を減らすことができると思いついたんです。ですが、このときは真剣に議論されることはありませんでした。
その後、イギリスの建築家でサマータイムの父と言われているウィリアム・ウィレットは早朝に乗馬の練習をしているときに明るい時間に寝ているのはもったいない。健康のためにも明るい時間帯を有効に活用するべきと考えました。
そこで自費でパンフレットを作成。4月~9月の間だけ時計を80分進める案を提出して国会議員も配りましたが法案提出も至るも否決されてしましますが、1916年にはドイツとイギリスで導入が始まりヨーロッパを中心にサマータイム導入が行われました。導入された背景としては第一次世界大戦の中で石炭を節約するためと言われています。
サマータイム導入での健康への影響は?
国民の評価は53%が賛成したというデータがありますが、本当に過半数以上の人がサマータイムについてしっかりと理解をして導入したのかは疑問です。
そもそも健康への影響は大きなものがあります。専門家の間では反対意見も多く出ており時差ボケのような状態が与える体への影響を考えるとサマータイム導入の議論が健康への影響まで考えられているものかといわれると実際のところ考えられていないというのが現状だと思います。世界的にみてもサマータイムをやめようという風潮になっているところに新たに導入する理由はないでしょう。
2020年東京オリンピックのマラソンが午前7時でも猛暑の影響を避けられないためサマータイムを導入しているのだとすれば、マラソンを5時から開催するとかナイターでやるとか他にいくらでもやり方はあるはずです。
日本人は短時間睡眠
世界的に見ても日本人というのは睡眠時間が短い傾向があります。午後10時以降に起きている人の割合がNHK国民生活時間調査の調べによると2010年の段階で85%にものぼっています。これは日本人のほとんどの人が深夜まで起きているということで普通は10時前には寝ないのが一般的です。にもかかわらず、サマータイムが導入されると早く寝ることができればいいのですが、なかなか生活のリズムを変更することができず、さらに睡眠不足が加速する可能性があります。
早く寝ろって言われても寝られないし、前提条件として夜はエアコンをつかわないでも眠ることができるとなっていますが、これだけ猛暑が続く日本でエアコンをつけなきゃ寝られない。そうなるとそもそもの目的であったサマータイムによるエネルギーの節約という考え方の根本が崩れてしまいます。
サマータイム導入で睡眠負債増加
睡眠不足が積み重なることで体への悪影響があるとして注目されている睡眠負債。サマータイム導入で睡眠負債が増加してしまうことが懸念されています。ある日から突然寝る時間を変更されても体はついていくことができません。そうすると睡眠不足を抱えたまま生活をすることになり、健康への悪影響は避けられないでしょう。もう仕事どころじゃないですよ。
不眠によっての体調の悪化、心理的にもうつ病になりやすいなど心身ともに睡眠不足のマイナス面が大きいのがサマータイムということになります。
睡眠不足の悪影響はいっぱいある
睡眠不足の悪影響は事例をあげればいっぱいあります。時差ボケのような状態になると体への負担が増えて心筋梗塞のリスクが高まります。ロシアでは救急車の出動率が高まることや経済的なメリットがないことから2011年にサマータイム制をやめています。
また、睡眠不足は食欲が収まりにくくなることから肥満のリスクも大きくなります。
さらにもっとあります。睡眠不足だとなんかイライラして落ち着かなくなります。精神的にも悪影響があるわけでデメリットだらけということなんです。オーストラリアではサマータイムの期間に自殺者が増加しているというデータもあり、2時間もサマータイムで時計を進めたらどれだけの悪影響が出るか明らかです。
体内時計が順応するには3週間程度かかると言われて、海外旅行から帰ってきたときに時差ボケが解消されるのに苦労された経験がある方も多いと思います。10年前にカナダに1か月ほど住んでいたことがありますが時差ボケが解消されるのに2週間かかり、その影響でめまいに襲われたり大変な思いをしました。
これだけ健康への悪影響があるサマータイムを東京オリンピックのためだけに本当に導入するんですか。どう考えてもやめておいたほうがいいでしょう。法案が通らないことを願います。
最近のコメント