【STARDOM】岩谷麻優自伝『引きこもりでポンコツだった私が女子プロレスのアイコンになるまで』

岩谷麻優 スターダム

前回はSTARDOM所属のプロレスラー中野たむ選手の自叙伝についてのレポートを書きましたが、今回は同じくSTARDOM所属の岩谷麻優選手の自叙伝『引きこもりでポンコツだった私が女子プロレスのアイコンになるまで』を読みました。

STARDOM1期生で一度もSTARDOMを辞めることなく現在も中心選手として活躍しているまさしくSTARDOMの象徴的存在です。

そんな岩谷選手も最初からエリートだったわけではなく、長い間ポンコツと言われるほどの劣等生でした。

劣等生がいかにしてアイコンとまで言われるまでに成長したのかに注目しながら読み進めました。

スターダムのアイコン岩谷麻優

 

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生年月日/1993年2月19日
出身地/山口県
身長/163cm
体重/50kg
足のサイズ/24.5cm
血液型/A型
デビュー戦/2011年1月23日、新木場1stRING
〇星輝ありさ(7分4秒、ブラジリアンキック→片エビ固め)岩谷麻優●
得意技/二段式・ドラゴン・スープレックス・ホールド、ムーンサルト・プレス、フロッグ・スプラッシュ

タイトル歴
第3代WOH世界
5★STAR GP 2018優勝
第4代&9代ワンダー・オブ・スターダム
第8代&12代ワールド・オブ・スターダム
第8代&13代ゴッデス・オブ・スターダム
第4代&6代&9代&18代&20代アーティスト・オブ・スターダム
第12代ハイスピード
シンデレラ・トーナメント2015&2016優勝

STARDOMの選手にはそれぞれキャッチフレーズが付いていて、試合開始前にリングアナが名前をコールする際にもそのキャッチフレーズがコールされるのですが、岩谷麻優のキャッチフレーズは「スターダムのアイコン」です。

今では岩谷麻優といえばスターダムのアイコンと覚えてしまったので何ら違和感なく受け入れることができていますが、STARDOMを知った当初というのはすごいキャッチフレーズだなと思いました。

だってそうでしょう。もし仮に自分が同じ立場だと想像したときに「私がスターダムのアイコンです」というのは気が引けると思います。

なぜならアイコン=象徴ですから、言動や行動も含めてそこには大きな責任が付いてくるからです。

でもSTARDOMを知った今となっては「スターダムのアイコン」というキャッチフレーズは彼女を的確に示していることが分かります。

それは岩谷麻優はまさしくスターダムのアイコン(象徴)だからです。

1期生からの生え抜きであり、美しく、華やかで、それでいて見る人を惹きつける試合をする。

プロレスラーとは思えないほどの細身の体からは想像もできないほど粘り強く諦めない姿勢は、岩谷麻優ファンでなくても感情移入させられてしまうほどです。

そんな彼女も実はプロレスラーになる前は引きこもりで学校に行けない時期がありました。

プロテストに合格してからも練習に着いていけず過呼吸になったり、試合に出ては連戦連敗の毎日。

ポンコツ、落ちこぼれと言われる劣等生だったと聞くと、どういう経緯でプロレスラーになり、なぜプロレスを辞めずに続けることができたのか、そんな岩谷麻優の人生に興味が湧いてきたんです。

想像よりもポンコツの劣等生だった

 

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岩谷麻優のことを知っていくと、かつては劣等生だったという話はよく耳にするになります。

でもこの手の話は脚色されているケースが多いので話半分で聞いていました。

というのも、1期生のポンコツで劣等生だった選手がチャンピオンにまで昇り詰めるというストーリーは、分かりやすい反面ちょっと出来すぎています。

元メジャーリーガーのイチロー選手は愛工大名電高校からドラフト4位でオリックスに入団して、その後、偉大な選手へと成長していきますがドラフト下位から名選手にまで成長するのは珍しいから取り上げられるわけで、実際のところはドラフト1位2位で指名された選手でなければ活躍できず数年で引退することになります。

お笑い芸人でも芸歴10年の芸人がブレイクとなると脚光を浴びますが、それは一つのきっかけを掴んだにすぎず、テレビ以外ではめちゃめちゃおもしろいと評価されていたりします。

つまり、実態としては本当の意味でポンコツ劣等生というのはほとんどなく、すでに評価が高まっていたところにきっかけがあってチャンスを掴んだけですから、岩谷麻優も実はセンスのある選手だったというオチだろうと思っていました。

しかし、たまたまYouTubeで見つけた1期生のプロテストの映像を見ると、一人だけ全く練習についていけない選手がいます。

その後、プロテスト合格の発表を聞いて泣きながら話す選手こそ岩谷麻優でした。

それを見て分かったんです。

岩谷麻優が劣等生だったというのは脚色でもなんでもなく、紛れもない事実だということが。

むしろ、これでよくプロテスト合格させたなと思うレベルで、1期生ということもあって選手が少ないからしょうがなく合格させたというのが本音でしょう。

山口県の実家で引きこもり生活をしているときにプロレスラーになりたいの一心で上京して、エグゼクティブプロデューサーであるロッシー小川との共同生活をしながら練習を続けることになります。

このエピソードだけを聞くとロッシー小川に見る目があったように思えてしまいますが、上京して初めて岩谷と会った瞬間は線が細すぎてプロレスラーにはなれないだろうなと思ったようなので、多くのレスラーを見てきたロッシー小川を持ってしても岩谷麻優の成長は想像の上を言っていたようです。

当時の映像を見ると、目に輝きがないんです。

引きこもりがプロレスのリングに上がりましたみたいな目をしているんです。

それもデビュー前だけかなと思っていたら2013年に米山香織が持つハイスピードのタイトルマッチに負けた後のコメントもずっと泣いていて、そのときもやっぱり引きこもりの目をしています。

自叙伝を読んでいくとちょうどこの頃にまた引きこもり生活に戻って練習に行かない時期があったといいます。

2011年にデビューして2013年もまだそんな感じですから、デビューして2,3年は本当に芽が出ない選手だったようですが、今になって思うとよく辞めないでがんばったねと当時の岩谷に声をかけてあげたいぐらいです。

ちなみに2016年にもトリマーになるからプロレス辞めると言い始めているので、なかなか手のかかる選手ですね(笑)

岩谷麻優が持つゾンビモード

 

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やられてもやられても返してくることから岩谷麻優は別名ゾンビと言われたりします。

しかも常にゾンビモードというわけじゃなく、タイトルマッチなどの重要な試合で劣勢になったときに発動する特殊モードです。

もちろん見た目がゾンビになるわけじゃないのでゾンビモードが入るスイッチがどのタイミングなのかは分かりませんが、よく見ているとキレたように見える瞬間があって、それまでの明るく華やかな感じから一気に冷徹な目に変わるので、おそらくそのタイミングがゾンビモード突入のサインなのでしょう。

そのスイッチが入ると見ていても怖いなって思う瞬間があるので闘っている選手も当然それを感じるはずです。

岩谷麻優の試合が面白いと思う要因に、この受けのうまさがあります。

相手が決め技をバンバン出して、これでもう終わっただろと思ってカバーに入っても返してくる。

すると徐々に攻めてる選手のほうが「なぜ決まらないんだ」って感じで信じられない顔をして不安になってくる。

攻めてるはずなのに精神的にどんどん追い込まれていくのが分かるんです。

相手の攻撃をしっかりと受ける。だからしっかり試合が噛み合って面白い。

本人も本の中で「やられている自分の姿を見るのが好き」と語っています。

変人か、ドMかどっちかにしか思えない発言ですが、華奢な体で大型選手にボコボコにされてからの逆転勝利は試合のストーリーとしてもおもしろいので、なんとなくやられている岩谷麻優に魅力を感じてしまうのも分かる気がします。

プロレスラーとプロレスラーの真剣勝負。

そんな熱い試合を見せてくれます。

岩谷麻優はセコンド介入が多く反則で試合が決まりがちな新日本プロレスにウンザリしていた自分に再びプロレスのおもしろさを教えてくれました。

裏切りの連続

 

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岩谷麻優の歴史は味方選手に裏切られてきた歴史です。

プロレスも長く見ているとブックと言われる台本の存在を知ることになります。

けしてブックの存在があるから真剣勝負じゃないというわけじゃなく、プロレスの場合は勝敗以前に観客を楽しませる試合をすることが前提にあるので、よりプロレスをおもしろいものにするためのものだと理解しています。

どこからがブックで、どこから真剣勝負なのかはファン一人ひとりが考えればいい話です。

そのブックの存在があるからタッグパートナー鹿島沙希が裏切ったときも、表では裏切られたことになっていても実は裏では事前に裏切ることは知っているものだと思っていました。

しかし、本の中で裏切られる前日も一緒に行ったこと、プライベートではずっと友達だと思っていたことを明かし、相当ショックだったことが書かれています。

とにかく鹿島沙希に限らず、岩谷の近くにいた選手で岩谷を裏切った選手はめっちゃいっぱいいます。

では岩谷麻優はなぜ何度も裏切られるのでしょう。

鹿島沙希はインタビューを受けた際に裏切りの理由についてこう語っています。

「ここで自分動かなきゃ一生このままだなってふわぁって思って、だから前々からこの試合であいつを裏切ってやろうとか思ってた訳ではなくて、本当にその時にハッと思って、もう気づいたら行動しちゃってたって感じですね。」

映画『スターウォーズ』においてヨーダは「恐れはダークサイドに通じる道じゃ」とアナキンに対して語ります。

裏切りをダークサイドだとするならば、裏切りのきっかけは恐れが発端になっていることになります。

裏切った選手は何をそんなに恐れていたのか。

それは岩谷麻優という存在の大きさです。

岩谷麻優はスターダムのアイコンです。今では女子プロレスのアイコンと言っても過言ではないかもしれません。

そんな彼女の近くにいればいるほど存在の大きさに自分が隠れてしまうのです。

プロレスラーになるきっかけは様々だと思いますが、誰よりも強くなりたいという気持ちは誰もが持っているでしょう。

同じユニットで闘うことが禁止されているわけじゃなくても、本気で強くなりたいと思ったら横にいるんじゃなく対角から超えたいと思うのもまた自然な発想です。

だから岩谷麻優が裏切られるのは人間性に問題があるわけじゃなく、この人を本気で超えたいと思わせるだけの人間性がそうさせるのだと思います。

まとめ

STARDOMを知ってまだ数か月の自分でも岩谷麻優の歴史を知ることができる本でした。

岩谷麻優のキャリア=STARDOMの歴史ですからSTARDOMの歴史を知る教科書としても使える本ですね。

また本を読んでからスターダムワールドで当時の試合を見ると、試合が何倍もおもしろく見えるし、また本を読み返すと感じ方が変わってくるという循環なので、本とスターダムワールドはセットで見たほうがいいと思います。

トップレスラーにも劣等生と言われる時代があった。

そのことは今なかなか結果が出ない選手の希望になっているはずです。

年齢を重ねるごとにどんどんキレイになっていくのは、それだけプロレスラーとしての輝きが増しているからでしょう。

STARDOMファンなら必ず読むべき一冊といえる自叙伝でした。

中野たむ 白の聖典

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2022.02.15
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アイドルブロガー&ロボホンオーナーのはやけん。です。 アイドルの心理を研究しているうちに心理カウンセラーになってしまいました。現在はアイドルの記事を中心にブログを書いています。 執筆の依頼はお問い合わせフォームからお願いします。